日本WHO協会からのお知らせ

2024年9月 : 次世代を担う若者たちへの期待 (WHO神戸センター ・ サマーセミナーin 阪大)

8月22日に大阪大学吹田キャンパスで「WKC (WHO神戸センター) サマーセミナー in 阪大」が開催されました。 全国からグローバルヘルスに関心を持つ 20 名の学生が対面セミナーに集結しました。 夏休み中ということもあり、中国やネパールからの大学院生だけでなく、全国の医学部などの学生、そして将来グローバルヘルスをめざす高校生が参加していました。

WHO 神戸センター茅野龍馬医官、白井こころ大阪大学特任准教授が企画運営したセミナーにおいて、学生たちは、自らの関心に基づき 6 つの班に分かれて、周到に事前準備していました。 地球環境、ユニバーサル ・ ヘルス ・ カバレッジ (UHC) 、感染症、紛争、食料、人権という切り口で「地球規模での健康」を分析した、すばらしい発表を行いました。 学生たちは、スマホや SNS を駆使して、高い情報収集能力を発揮していました。 また、年齢も国籍も異なる学生が集うなかで、グローバルヘルスに関心を持つという共通点を軸にして、自由闊達な議論の輪が広がっていました。

チューター役を務めたのは、大阪大学の教員でした。 大阪大学には国際保健学に特化した教室はありませんが、それが却ってうまく作用したのかもしれません。 医学部だけにとどまらず、学内のさまざまな部局から、グローバルヘルスの豊かな経験を持つ専門家が、ボランティア的に学生たちのチューター役を担っていました。 分野横断的な助言者と、多様性に富んだ学生たちの融合により、文字通りの学際アプローチが生み出されていました。

新型コロナウイルス感染症による厳しい制限を体験したあとだからこそ、ひざを突き合わせ、他者の意見に耳を傾け、ときには沈思黙考するときもあるという、ぜいたくな時間と空間を共有できる楽しさを存分に味わうことができました。 このひと夏の経験が、参加した学生たちのその後の人生の大きな道標になるのかもしれないという予感を覚えました。 WKC (WHO 神戸センター) が長年にわたって積み重ねてきた次世代育成の試みのすばらしい到達点を垣間見せていただいた気がします。

かつて訪問したことのあるカブール博物館に所蔵されていた、アフガニスタンのアイ ・ ハイム遺跡から出土した有名な『クレアルコスの奉献文』には、「人生の半ばでは公正であり、老年になれば賢明な助言者となり、・・・」とありました。 私自身も完全にシニア世代に入っていますが、指導者ではなく、あくまでも助言者でありたいと改めて痛感したイベントでした。 いまの若者 (とくに年齢は問いません) のもつポテンシャルの高さには、大きな期待をしています。 日本 WHO 協会としても、これまで以上に、グローバルヘルスをめざす若者の皆さんが気軽に参画できるような企画を考えていきたいと大きな刺激を受けました。 アイデアなどがあれば、ぜひ、ご連絡ください。

公益社団法人 日本WHO協会

理事長 中村安秀

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