2025年を振り返ると、この年はグローバルヘルスにおいて、多大な成果と深刻な課題が刻まれた年でした。資金の大幅な削減や科学と連帯への脅威が増大しましたが、WHO は引き続き世界の主導的役割を果たし、現代の最大の健康課題に立ち向かうための国際的な取り組みを推進してきました。
また、WHO は、各国政府が世界初のパンデミック協定を採択し、命を救う医薬品へのアクセスを拡大から気候関連の健康リスクへの取り組みに至るまで、健康におけるエビデンスの中心的な役割と、世界中のすべての人々の健康に対する永続的な関連性の両方を再確認しました。
(以下、要約)
1 ) 疾病対策における成果
母子感染の根絶 (モルディブ等) 、トラコーマ、睡眠病、河川盲目症の根絶 (ブルンジ等) 、結核による死亡者数の減少、マラリア対策の進展、予防接種プログラムの継続的な拡大
2 ) より健康な生活
たばこ使用の減少、大気の浄化、水と衛生環境の改善により、14 億人もの人々がより健康な生活を送れるようになり、また、HIV および結核の罹患率は低下
3 ) 公平な保健医療システムに向けて
16 億人が貧困状態にあるか、医療費の負担が原因でさらに貧困に陥っており、WHO は、貧困状態や脆弱な状況にある人々への無料の必須ヘルスケアの提供、医療システムと慢性疾患ケアへの公的投資の拡大、医薬品その他の費用における自己負担支出の削減を呼びかけ。 WHO は世界銀行グループおよび日本政府と連携し、政策立案者間の能力構築、知識共有、協力を促進するため、東京に「UHC ナレッジハブ」を設立
4 ) 非感染性疾患 (NCD) 対策への歴史的取り組み
国連総会において、NCD およびメンタルヘルスに関するこれまでで最も強力な政治宣言を採択
5 ) メンタルヘルスケアは人権です
WHO は、サービスへの投資、プライマリケアへの統合、そしてスティグマの軽減を強く求め、QualityRights イニシアチブを世界規模で拡大しています
6 ) 科学と連帯
WHO は最新の科学的知見を活用し、健康の向上と新たな治療法 ・ 診断法 ・ ワクチンへの公平なアクセス確保に努めています。 WHO のソーシャルメディアコミュニティは現在 8,200 万人に達し、ウェブサイトの 1 日あたりのアクセスは約 100 万回
7 ) 健康における生涯学習
WHOアカデミーは、初年度の活動において、WHO アカデミーオンライン学習プラットフォーム上で 20 言語以上による 250 以上のコースへのアクセスを提供
8 ) 都市の健康と気候変動対策
世界人口の半数以上にあたる 44 億人以上が都市部に居住しており、2050年までにその割合は 70 % 近くに達すると予測。 WHO は新たな都市健康計画ガイドにおいて、より健康的で持続可能な都市生活を実現するための実践的な指針を各国政府に提供。
WHO とブラジル (COP30 開催国) は画期的な報告書を発表し、気候変動がすでにグローバルヘルス危機を深刻化させている実態を明らかにした。
9 ) 歴史的な一歩:パンデミック協定
第 78 回 世界保健総会において、各国が初のパンデミック協定を採択
10 ) 危機を未然に防ぐ
WHO パンデミック ・ エピデミック情報ハブは、各国が健康上の緊急事態に備えるための支援を目的としたイノベーションを推進し続けています。
国際保健規則の改正も本年発効し、より強力な連携を促す新たな「パンデミック緊急事態 pandemic emergency」警報レベルを導入。
11 ) 迅速なアウトブレイク対応
ウガンダでスーダンウイルス病が発生した際、WHOは 4 日以内に新たな候補ワクチンの臨床試験の開始を支援。 コンゴ民主共和国のエボラ出血熱の際には、6 週間以内に感染拡大を成功裏に封じ込め。
12 ) 命を救うケアの提供
WHO の緊急事態対応基金を通じて、本年は 30 か国における緊急事態への対応のため、2,900 万米ドルを迅速に拠出。
2026年 5月の世界保健総会において WHO パンデミック協定の付属書「病原体へのアクセス及び利益配分 (PABS) 」が審議される予定です。
WHO は 第 14 次 総合活動計画の下、2026年を迎えますが、1948年に打ち出したビジョン、すなわち、すべての人々の権利として、到達可能な最高水準の健康を実現するというビジョンの実現に引き続き尽力します。







