過去20年の間に、世界の子どもの健康に関する疫学は、子どもや青少年の健康と福祉を向上させるために何が有効かという理解とともに、大きく変化してきました。COVID-19のパンデミックからの回復と再建を目指す国々では、今日の若者の変化するニーズに対応するため、この考え方を大幅に進化させることが求められています(ブリティッシュメディカルジャーナル(BMJ)の付録に掲載された一連の論文に掲載)
乳幼児死亡率と病気のパターンは劇的に変化しています。予防可能な死亡数は新生児期に最も高くなっていますが、肺炎、下痢、マラリアに加えて栄養失調もあり、5歳未満の子どもたちの死亡は高止まりしています。特にサハラ以南のアフリカ諸国の、人々が最も疎外されている人口集団で顕著です。その上これらの諸国では今後数十年の間に子どもの人口が増加することが予想されています。
しかし、一部の国では、交通事故、対人暴力、自傷行為などにより、年長の青年(15~19歳)の死亡率が増加しています。一命は取りとめたものの、傷害、発育障害、非感染性疾患、劣悪な精神衛生の状況などの影響を受ける子どもや若者が増えています。子どもや若者の太り過ぎや肥満は急速に増加しており、多くの国では栄養不足と栄養過多の二重苦に直面しています。
こうした課題は、人口動態の変化によってさらに悪化する可能性があります。今後ますます多くの子どもたちが都市部で暮らすようになり、きれいな空気や身体活動の機会が制限され、さらなる介入策なしにはこれらの地域の医療サービスに深刻な負担がかかるようになるでしょう。
2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、子どもと青少年の健康と福祉をそれに向けた努力の中心に据える必要があります。
WHOとユニセフは、世界の子どもの健康に関する対策を再設計するために協力しており、各国が新しいビジョンを実践するためのツールを設計・更新する作業を進めています。