日本WHO協会からのお知らせ

2021年10月

2021年 9月28日、WHOのテドロス事務局長が、コンゴ民主共和国における性的虐待に関して謝罪会見を行いました。 私たちにとって大きな衝撃でした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)下において多くの専門機関が家庭内暴力や虐待防止に全力を挙げているなかで、専門機関としてのWHOの信頼を揺るがす不祥事です。 今後 10 日以内に行動計画を提出するとのことなので、透明性の高い対応を注視していきたいと思います。

さて、9月21日から始まった2021年の国連総会では、新型コロナワクチンをめぐって、経済格差がワクチン格差に直結していることに、多くの首脳が異議申し立てを行いました。 先頭に立ったのは、アントニオ・グテーレス事務総長でした。
とくに、ワクチンが不足しているのはアフリカ諸国です。国連総会においても、マラウイでは、1 回接種者は人口の 1.4 % 、ザンビアでは人口の 3 % しか接種できていないといった報告が相次ぎました。 WHOなどが主導する国際的なワクチン分配の枠組みである「COVAXファシリティ」についても、期待されていた機能を果たしないという強い不満の声もあがりました。
持続可能な開発目標(SDGs)において、国際的なパートナーシップで目標を達成しようと呼びかけていた先進国といわれる国々が、自国民のための 3 回目のブースター接種をいちはやく決定したことに、世界中で失望と怨嗟の声が渦巻いています。 共感と連帯と想像力に基づいたグローバルな協力の仕組みが早急に求められています。
感染症に国境はありません。 パンデミック(世界的大流行)になった新型コロナウイルス感染症は、自国だけで解決できるはずがありません。 地球上に大きな流行地がある限り、感染予防対策を継続する必要があるからです。 3 回目のブースター接種を少し先延ばしにして、そのワクチンをアジアやアフリカの人たちに接種することは、ひいては自分たちを守ることにもつながるのです。
「情けは人の為ならず」、そんな発想でワクチンをめぐる世界的な国際協力や連帯を呼びかける政治家がでてくることを心から期待しています。

10月25日 – 29日に、第 72 回WHO西太平洋地域委員会が兵庫県姫路市で開催されます。 WPROに属する 37 の国と地域の代表が集まり、地域全体の健康の課題を議論する重要な会議です。 葛西健WPRO事務局長のリーダーシップのもと、実り多い委員会となることを期待しています。

今後とも、何とぞよろしくお願いします。

公益社団法人 日本WHO協会

理事長  中村安秀

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