新型コロナウイルス感染の勢いが、世界中で止まりません。多くの国で、外出や移動に関する制限が実施され、国境を越す移動には大きな制限がかけられています。
この1年間、新型コロナウイルスの大きな影響を受け続けた世代のひとつが大学生です。当初は入学式や卒業式が中止され、その後は臨時休校が続き、大学が再開されても、講義はオンライン授業、サークル活動はほとんど中止されました。対面授業と並行して実施している大学もありますが、多くはいまもオンライン授業が続いています。
とくに、アジアやアフリカのことを学びたいという気持ちをもって入学してきた学生にとって、身体的も心理的にも大変な時期が続いています。たしかに、アジアやアフリカのフィールドに行くのは、いまの時点ではなかなか困難です。ただ、これは一時(いっとき)のことにすぎません。いわゆる先進国や低中所得国といった垣根をこえて、世界中の国や地域がお互いに協調しなければ、ウイルス対策もワクチン施策も完遂できません。ウイルスに国境はないのです。政治の世界では分断が進んでいるようですが、世界の多くの大学や研究機関ではますます国際協調の必要性と重要性が認識され、グローバルヘルスに対する関心が高まっているようです。
お互いに国や地域を越えて超えて、グローバルヘルスの協力や交流しなければいけないときが、かならずやってきます。そのときのために、いまはじっと待つとき。古今東西、風待ち港やオアシスでの出会いや学びがその後の大きな飛躍につながる旅人は少なくありませんでした。グローバルヘルスを志すひとに、「Bon Voyage!(いい旅立ちを!)」ということばを投げかけたいと思います。
いま、「グローバルヘルスや国際保健医療をしたい!」と口にするのは少数派かもしれません。しかし、多数派は現在を形作っていますが、少数派は未来を創造します。意識的に少数派を選択し、自分が好きだと思い、自分が選ぼうとしている道に気軽にチャレンジしてほしいと思います。
ウィズ・コロナの環境下だからこそ、より一層、若い世代の方々に積極的にメッセージを発信していきたいと思っています。
ご指導のほど、よろしくお願いします。
公益社団法人 日本WHO協会
理事長 中村安秀