日本WHO協会からのお知らせ

2023年11月 : 11月17日は、リトルベビーのための「世界早産児デー (World Premature Day)

母子健康手帳 (以下、母子手帳) が第二次世界大戦直後の1948年に日本で「発明」され、いまや世界 50 以上の国や地域で使われています。 いま、母子手帳と一緒に使う「リトルベビーハンドブック (Little Baby Handbook : LBH) 」が注目を浴びています。 静岡県から始まった、小さく生まれた赤ちゃん (リトルベビー) のためのリトルベビーハンドブックが全国の 40 以上の都道府県で作成されるようになりました。

日本では、2019年に生まれた新生児の 9.4 % にあたる 7.6 万人の赤ちゃんが出生時の体重が 2,500 g 未満の低出生体重児です。 そのなかには、出生時体重が 1,000 g 未満の超低出生体重児が 2,646 人もいます。 世界的にみても、小さく生まれた赤ちゃんをもつ母親は、強い自責の念で、自分の辛さや不安をなかなか外に出せないといわれてきました。 産科や新生児医療の画期的な進歩により、小さく生まれても無事に退院できるようになったけれど、家庭や地域に戻った後の社会的な支援が圧倒的に不足しているのです。

たとえば、日本の母子手帳は世界的に高い評価を受けていますが、リトルベビーの親の 83 % が、母子手帳の内容に「不快な気持ちになったことがある」と回答していました。 子どもの体重曲線が 1 kg から始まるので、1 kg 以下のわが子の体重をグラフに書き込むことができません。 保護者が記録するページで「〇〇ができますか?」という質問が続き、「いいえ」ばかりが続くので、母子手帳を見たくなくなるといいます。

そんなわけで、ひとりひとりの子どもの個性的な成長や発達を認めることができ、先輩のママやパパからの温かなメッセージにあふれた、リトルベビーハンドブックが作られました。 リトルベビーをまんなかにおいて、その家族、伴走する医療者、そして地域の行政機関のネットワークがつながり、大きな支援の輪が広がっています。

11月17日は「世界早産児デー (World Premature Day) 」。 世界各地では、庁舎やタワーがシンボルカラーのパープルカラーにライトアップされるそうです。 日本でも、多くの地域で写真展やライトアップがみられるはず。 リトルベビーとその家族の存在を知り、気づくことから、こどもまんなかの新しい関係性が始まることを期待しています。

公益社団法人 日本WHO協会

理事長 中村安秀

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