日本WHO協会からのお知らせ

2023年4月 : 地球温暖化ではなく、世界共通の「気候変動」を使っていきたい

2023年のサクラの開花前線は、南の地域ではなく、東京から始まるという奇妙な異常さでした。記憶に新しいですが、2022年12月は日本各地で記録的な大雪に見舞われました。一方、気象庁の発表によると、2022年6月~8月までの夏の平均気温は、1898年の統計開始以来、2番目に暑い夏だったといいます。記録的な暑さと寒さと異常さを経験することが、決して珍しくない状況が続いています。

日本では、2008年に「地球温暖化対策の推進に関する法律」が公布された関係で、「地球温暖化」ということばがメディアなどを含め日常よく使われています。しかし、世界では、地球温暖化ではなく、「気候変動(Climate Change)」がふつうに使われています。気候変動は、気温の上昇だけではありません。深刻な干ばつ、水不足、大規模火災、海面上昇、洪水、極地の氷の融解、壊滅的な暴風雨、生物多様性の減少などがあげられます。

2008年時点で「地球温暖化対策」を公布したのはまちがっていませんでした。しかし、その後、世界の潮流は速やかに変化していき、いまやプラネタリーヘルスが大きなうねりとなっています。ただ、日本では、「地球温暖化対策」という法律があるので、小学校の教科書では地球温暖化という用語を使わざるを得ないといいます。しかし、世界共通の「気候変動」を使っていかないと、日本の子どもたちが世界から孤立していくのではないかと危惧します。

一方、うれしい兆しも見られます。4月7日の「世界保健デー2023」では、昨年のテーマである「わたしたちの地球、わたしたちの健康」の動画受賞作品が上映されます。受賞作のなかには、カルタを通じて世界とつながる楽しさやプラネタリーヘルスの大切さをテーマに、医学生が仲間と創った、自由な遊び心にあふれた作品もありました。また、4月21日には、広島大学でプラネタリーヘルスをテーマにした日本発の大学間パネルが開催されます。日本WHO協会も後援させていただきました。このように、大学から未来に向けた知のメッセージが発信されていることは大きな希望の光です。
これからも、次世代を担う子どもたちのためにも、「気候変動」という世界共通用語を使って、プラネタリーヘルス(地球の健康)について世代を超えて議論していきたいと考えています。

公益社団法人 日本WHO協会

理事長 中村安秀

WHOインターンシップ支援
メールマガジン登録

刊行物(目で見るWHO)
賛助会員募集中