日本WHO協会からのお知らせ

2023年7月 :「Health For Allへの道 : 平和と紛争 ・ 戦争」

6月14日に公益社団法人日本WHO協会の定時社員総会にて、新理事として、澤芳樹さん (大阪警察病院院長、元大阪大学医学部長) 、山本尚子さん(国際医療福祉大学大学院教授、元WHO事務局長補)をお迎えすることできました。 これまでのすばらしい実績と幅広いネットワークを活かして、日本WHO協会に新しい風を吹き込んでいただけることを期待しています。

また、7月 1日付で木下英樹事務局長が就任しました。 シンガポール、インドネシア、米国、中国、イタリアなど民間企業人としての海外経験を活かして、協会のグローバル活動が大いに前進することを期待しています。 なお、渡部雄一前事務局長には、WHOニュース翻訳とファクトシート全訳プロジェクトの担当として、引き続き活動をお願いしています。

6月29日 (木) に関西グローバルヘルスの集い (KGH) のオンラインセミナー第 7 弾が始まりました。 今回のテーマは、「Health For Allへの道 : 平和と紛争 ・ 戦争」。

川原尚行さん (認定NPO法人ロシナンテス ・ 理事長) から「戦乱のスーダンで地域保健医療を考える」のお話をいただき、永遠瑠マリールイズさん (ルワンダの教育を考える会理事長) から「ルワンダ難民キャンプから始まった長い旅路」のお話をいただきました。

スーダンでは、いつものようにナイル河まで朝の散歩に出かけた帰路から突然に内乱状態に陥りました。 ルワンダでは、いつものように仕事終わりに「また、明日」と同僚とあいさつした日の夜から、世界が戦慄した民族浄化の内戦が勃発しました。 おふたりのお話に共通していたのは、ありふれた日常を突然に襲うこともあるという戦争や紛争の予測困難な姿でした。

2023年は、世界保健機関 (WHO) の設立 75 周年の節目の年です。 第二次世界大戦直後の1948年に発効したWHO憲章は、感染症の脅威と平和への希求に満ち溢れていました。 そこでは、「世界中すべての人々が健康であることは、平和と安全を達成するための基礎」であると言明していました。

ベトナム戦争が終結して 3 年後の1978年に開催されたアルマアタ会議では、「Health for All by the year 2000 (2000年までにすべての人に健康を ! ) 」という有名なスローガンが提唱されました。 その具体的な戦略がプライマリヘルスケア (Primary Health Care : PHC) でした。

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) がやっと収まりつつある2023年に、WHOが「Health For All」を世界保健デーのテーマに選んだことに、大きな意義があります。 健康はすべての人にとっても最も大切な基本的人権のひとつであり、それを守ることは平和につながるというWHO憲章の原点の現代的な意義を改めて認識しました。

2023年の世界保健デーのテーマ「Health For All」をキーワードに、ことしは健康と平和についてじっくりと考えていきたいと思います。

公益社団法人 日本WHO協会
理事長 中村安秀

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