9月27日 – 28日と、東京の新宿住友ビルで「グローバルフェスタ 2025」が開催されました。 外務省、国際協力機構 (JICA) 、国際協力NGOセンター (JANIC) が主催し、多くの企業の協賛のもと、国際 NGO / NPO、大学や学会や学生団体、国際機関や大使館などがブースを出していました。
大阪万博において、いろんな国の個性豊かな文化を一度に見て回れるコモンズ館の人気が高かったように、グローバルフェスタでも各国の大使館ブースが並んでいる通りには、いつも人の流れが絶えませんでした。 生物多様性に取り組むルワンダ、ジェンダー公正の法整備を目指すイスラム国のチュニジア、また多くの国で保健医療分野でのデジタル化に積極的に取り組み、ふつうに「eHealth」という言葉を話していました。
先進国だった欧米や日本が、途上国といわれたアジアやアフリカの国々と国際協力するという時代は終焉し、いまやユニバーサル ・ ヘルス ・ カバレッジ (普遍的な保健医療の提供) は世界共通の同時代的な課題になっています。旧来の先進国や途上国という枠を取り払い、日本がいろんな国や地域の保健医療に関する取組みに学ぶと同時に、日本もまた発信していく必要があることを痛感しました。
2025年 8月には、JICA 研修で日本を訪問中のタジキスタンの医療者から、72 ページすべてがカラー印刷された母子健康手帳を作成した苦労話を伺う機会がありました。 9月には、国際母子手帳委員会の仲間と訪問した台湾では、増加している移民家族に対して早産児の家庭ケアに関する冊子を 4 か国語で無料配布するなど、多文化共生に積極的に取り組んでいました。
2025年の WHO 健康デーのテーマは「健やかなはじまり、希望のある未来へ」です。 WHO は、「母親と赤ちゃんの健康は、健康な家族と地域社会の基盤であり、私たちすべてに明るい未来を約束します!」と謳っています。 多くの国では、妊娠した女性と赤ちゃんの健康を保護者と医療者だけに任せるのではなく、その国の資源を最大限に活用して社会全体で支えるために、さまざまな工夫や努力をしていました。 日本は、妊産婦死亡率や乳児死亡率という母子保健指標は世界トップクラスですが、母親と赤ちゃんが家庭で生き生きと楽しく過ごせる環境を整備するという点では、いろんな国の取組みから学ぶことも少なくありません。 今後ますます、国境を超えた相互の学びを大切にしていきたいと思います。
公益社団法人 日本WHO協会
理事長 中村安秀