ことしの 4月 7日の WHO 世界健康デー 2025 のテーマが、「Healthy beginnings, hopeful futures (健やかなはじまり、希望のある未来へ) 」に決まりました。
母親と赤ちゃんの健康は、健康な家族と地域社会の基盤であり、私たちすべてに明るい未来を約束するものです。 このキャンペーンで、WHO は妊産婦と新生児の死亡をなくすための取り組みを強化し、女性の長期的な健康とウェルビーイングを各国政府と保健医療関係者に呼びかけています。
ことしの世界健康デーのテーマは、日本にとって、決して他人ごとではありません。 日本は乳児死亡率 (1.8 / 出生 1000 人) の低さでは世界でも最高水準の国ですが、子どもの貧困や虐待による死亡など社会経済的な格差が広がっています。 母親と赤ちゃんの健康とウェルビーイングは、狭い意味の医療や医薬品だけで守ることはできないのです。 妊娠中、出産時、新生児期という人生の最初の段階を健やかに過ごすことの責任を保護者と医療者だけに任せるのではなく、「Healthy beginning」に国や行政や地域社会が積極的に関与する必要があります。
2024年 5月に、フィリピン共和国マニラで開催された「第 14 回 母子手帳国際会議」のテーマは「Safe Beginnings (人生の安全なスタート) 」でした。「Healthy」と「Safe」と言葉は違いますが、健やかなはじまりを社会全体で支えていくという方向性は共通しています。 フィリピンでは、2018年に「母子の健康と栄養に関する法律」が施行され、保健省と農務省をはじめとする官民連携のなかで、乳幼児の成長と発達を促進し、栄養状態の改善をめざしていました。 母親と赤ちゃんが健やかで安心できる生活を享受できるように、社会全体でセイフティネットを広げようとするアジアやアフリカなどを含めた世界各国の試みに、日本も学んでいく必要があると痛感しています。
日本 WHO 協会では、「世界健康デー 2025」イベントを 4月 7日 (月) 14 : 00 – 16 : 30に、大阪商工会議所 ・ 国際会議ホールで開催します。 WHO 経験のある医師のお話しや、健康デーの動画入賞作品の上映など、楽しく有意義な時間となるよう企画しています。ぜひ、大阪まで足を運んでいただますよう、お願い申しあげます。
公益社団法人 日本WHO協会
理事長 中村安秀