日本WHO協会からのお知らせ

2025年8月 : 子どもたちを主役にした英語でのキッズ ・ カンファレンス

次世代育成という言葉が、いろんな場面で使われるようになりました。 それ自体は大変うれしいことですが、日本では実際に子どもたちを主役にしたグローバルな取組みは決して多くはありません。 子どもは未来社会のリーダーであるという発想に基づき、日本で開催された国際学会で「キッズ ・ カンファランス」に参加する機会に恵まれました。

2025年 7月下旬に、静岡県御殿場市で開催された「The 22nd International School Nurse Conference 2025 Shizuoka (第 22 回 国際スクールナース学会) 」です。 鎌塚優子元静岡大学学生支援担当副学長 (現静岡大学教育学部長) が大会長を務め、スクールナースに関わる研究者や実践者が世界25か国から 300 人近く集まり、実践や研究成果を発表し、日本の学校保健や養護教諭の活動現場の視察を行いました。

開会式当日の午後は「キッズ ・ カンファランス」だけの特別の時間。 各国からの学会参加者の子弟、日本国内の公立学校やインターナショナル ・ スクールの子どもたち (200名 : 参観者含む) などが、英語で「安心 ・ 安全な学校づくり」をテーマに、自分たちの思いを発表しました。 パワーポイントを使って発表する子ども、紙に書かれた手書きのメモを読み上げる子ども。 幼稚園や小学校低学年の子どもたちも、英語で堂々と発表しました。 それに対して、いろんな国のスクールナースたちが、子ども扱いせずに、学会発表者に対するように突っ込んだ質問やコメントをします (ただし、むつかしい専門用語を使わずに、やさしい英語で話していました) 。 その言葉に真摯に耳を傾ける子どもたち。 まさに、学会のディスカッションが展開していました。 会場でいちばんドキドキした表情を浮かべていたのが、付き添いで参加していた子どもの両親だったのも、ほほえましい光景でした。

日本各地のインターナショナル ・ スクールには、日本人と国際結婚した家庭の子女はもちろん、両親が日本人という家庭も少なくありません。 英語でディスカッションできる子どもたちにとっては、「キッズ ・ カンファランス」はグローバル世界に触れることのできる恰好の機会でした。

日本で数多くの国際学会が開催されている機会を利用して、「キッズ ・ カンファランス」のような取組みが広がっていくことを期待したいです。 子ども神輿をかついでいた子どもが成人して地域の祭りの主役となるように、「キッズ ・ カンファランス」で発表した子どもたちのなかから、将来は国際学会を主催する人が出てくることもあるでしょう。 そういう長期的視座をもった次世代育成の実践が各地で広がることを望みたいです。

公益社団法人 日本WHO協会

理事長 中村安秀

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