サバイディ! (* 1)
今日はラオスの小児外科医の現状について少しご紹介させていただきます。
これまでにもご紹介させていただいた通り、これまでラオスには小児外科専門医制度はありませんでした。
我々はラオス健康科学大学と連携し支援を続けてきました。
そして2022年 9月にようやくラオスで正式に小児外科専門医制度が開始される予定です。
COVID-19の影響を受け、現地での指導ができなくなったり、専門医制度の開始時期が延期されたりなど、多くの困難を乗り越えてきた当プロジェクトですが、今新たな課題に直面しています。
それはラオスで小児外科専門医になろうという若い医師が少なく、後継者探しに難渋しているということです。
原因としては大きく 2 つがあげられます。
1 つはまだ小児外科専門医制度がなく、小児外科医の知名度が低いこと。
2 つめに、地方には小児外科の症例が少なく、小児外科だけで生計を立てることが難しいということがあります。
実際にラオス国立小児病院に研修に来ている研修医の方に、「小児外科医になりたいという人が少ないのはなぜ ? 」と聞くと、「専門医制度がないからだよ」という声や、「こどもは症例が少ないから」という声が聞こえてきます。
知名度に関しては、研修医に小児外科専門医制度についてアピールをしたり、オンラインセミナーに招待するなど、小児外科に興味をもってもらえるようなアプローチを行っています。
また、今後小児外科をラオスでもっと広めていけるようなムービーの作成も現在検討しております。
症例数に関しては、たしかに小児外科が一般外科に比べると母数が少なくなるのは日本でも同じことです。
ただ、ラオスの場合、特に地方では症例が診断までたどりついていないために症例数が少ないという要因も考えられます。
実際に、日本ではなかなか見られないような巨大な腫瘍のケースなどがラオス国立小児病院に多々紹介されてきます。
また、こどもを持っている家庭が治療費を払えないために手術までたどりつかないという要因もあると現地の医師は語っていました。
こういった要素に対しては、ラオスでは、サブスペシャリティである小児外科だけというよりは、一般外科と両立できるような医師を育てる必要があるのかもしれません。
多くの課題がありますが、これからもひとつずつ乗り越え、ラオスにとってよりよい専門医制度となるよう引き続き支援をしていきたいと思っております。
コープチャイ ライライ! (* 2)
ラオス小児外科プロジェクトマネージャー ・ 看護師
勝井 由美
* 1 ラオスの言語「こんにちは」
* 2 ラオスの言語「ありがとう」