サバイディー ! (※ こんにちは)
2022年 9月末、当プロジェクトのプロジェクトリーダーであり、新生児外科医の窪田昭男先生がラオスに訪問されました !
2020年 7月のプロジェクト開始以来COVID-19による影響を受け、渡航が叶わない期間が 2 年間続きましたが、ようやく渡航することができました。
ラオス側の喜びも非常に大きく、とても暖かく歓迎していただきました。
特にVongphet先生と私は、ラオスでこの日を指折り数え非常に心待ちにしておりました。
というのも、ラオスにいる小児外科専門医は今のところVongphet先生だけ。
困ったことがあってもすぐそばに相談したり頼ったりできる人がいない心細さの中、日々全国から集まる手術を必要とするこどもたちのために、自分の休みや時間を返上して、へとへとになりながら対応しているVongphet先生をそばで見ていると、奮い立たさせられるような気持ちにもなります。
そんな中やってこられた窪田先生は、まさに我々にとって救世主 !
現地では術前カンファレンスへの参加や、手術のHands-on指導、そしてカウンターパートとラオス国立小児病院を交えた今後のラオスの小児外科に関する長期的戦略についてのミーティングなどが行われ、非常に密度の濃い 2 週間となりました。
現地で活動する中、お金がないために手術や必要な検査を受けることができない患者さんやご家族を改めて目の当たりにされ、これまでにも多くの国際協力のご経験のある窪田昭男先生でも、ラオスの医療の現状にはショックを隠せない様子でした。
手術のHands-on指導では、現地の医師と一緒に手術に立ち会われ、よりリスクの少ない合併症の術式について指導されたり、難しい症例についてサポートしていただいたりしました。
手術後に、「 (修羅場をくぐり抜けているだけあって) やっぱり手術はうまいなあ」と、唸る窪田先生をみて、「なんてったって、ラオスの小児外科を一人で背負っているだけあって経験数が違いますから ! 」と、なぜか私が誇らしげな気分です。
あとは一刻も早くVongphet医師の後継者となる医師を養成し、「Vongphet先生ひとりがラオスの小児外科を支えている」という今の構図をなんとかすることが急務と感じます。
カウンターパートであるラオス健康科学大学の医学部副学部長のAlongkone先生と、ラオス国立小児病院の関係部門を交えたミーティングでは、今後の小児外科疾患の治療成績向上に必要不可欠な他部門連携について、ラオス国立小児病院の関係部門(副院長2名をはじめ、集中治療科、感染対策部門、放射線科、小児科、麻酔科、救急診療科、看護部)が参加し、話し合いが行われました。
日本では今や当たり前の「チーム医療」ですが、ラオスではまだまだ他部門 ・ 他職種間の連携が乏しい現状があります。
例えば、
「新生児外科疾患が産まれる前に診断され、産後スムーズに新生児科や小児外科に繋げることができたら。」
「小児科や救急診療科の医師が手術の必要な小児外科疾患をより早く診断することができたら。」
「集中治療室の医師の医師、看護師と小児外科医が連携を取り合って、よりよい術後管理を患者さんが受けることができたら。」
他部門 ・ 他職種連携が進めば、より多くのこどもたちを助けることができるはずです。
このテーマについては今年の11月末に開催予定の第 3 回 小児外科国際シンポジウム in Lao PDRでもディスカッションされる予定です。
2週間の渡航期間中、みっちりスケジュールが詰まった活動となりましたが、窪田先生はとてもパワフルに活動され、20代の私が圧倒されるほどでした。
窪田先生、おつかれさまでした!
後日談 …
窪田昭男先生のご帰国後、私が病院へ赴くと現地の医師たちが「窪田先生に教えてもらった方法で手術しているよ ! 」と嬉しそうに教えてくれました。
より合併症のリスクの少ない術式です。
「ここは日本じゃないから (できないよ) 」
と言われてしまうことも多い中、伝えたことをすぐに活用してくれているのを見ると、ラオスに合った方法を考えることができていたのかな、と嬉しい気持ちです。
「日本ではこうしている」という押し付けではなく、「ラオスでできる最善はなにか ? 」を常にラオスの人たちと一緒に考えていきたいと思っています。
コープチャイドゥー ! (※ ありがとうございました ! )
ラオス小児外科プロジェクト
プロジェクトマネージャー ・ 看護師
勝井 由美