日本WHO協会からのお知らせ

第 3 回 小児外科国際シンポジウム in Lao PDR ~ラオスの小児外科における多職種連携~ が開催されました

この度、11月30日 (水) ラオス時間 13 時 ~ 17 時、ラオス国立小児病院において「第 3 回 小児外科国際シンポジウム in Lao PDR」が開催されました!

1 年目のテーマは「ラオスの小児外科の現況と展望」であり、2 年目は「ラオスの出生前診断と周産期医療の現況と展望」とし、小児外科だけにとどまらず、少しずつ裾野を広げてまいりました。

  

そして 3 回目となる今年度のテーマは「ラオスの小児外科における多職種連携」とし、多くの他部門 ・ 他職種関係者にご参加いただき、総勢 70 名程度での開催となりました。

  

日本からは当協会の理事長である中村安秀理事長、窪田昭男プロジェクトリーダー、大阪大学の奥山宏臣教授、聖マリアンナ医科大学の北川博昭学長が現地参加されました。

  

ラオス側としては、Dr.Phouvang SENGMUANG (ラオス健康科学大学 医学部長) をはじめ、Dr. Alongkhone PHENGSAVANH (ラオス健康科学大学 医学部副学部長) 、Dr.Phedavanh (ラオスの初代小児外科医) や、その他ラオス健康科学大学の関係者や若手の研修医など小児外科の部門を超えて、多くの方にご参加いただきました。

発表演題は下記の通りです。

  

● 窪田昭男氏 (プロジェクトリーダー) :
“Cases which survived the surgery, but did not survive the postoperative period,and cases which did not reach the NCH. “

 

● Dr.Vongphet (ラオス国立小児病院 小児外科部門) :
“The multidisciplinary collaboration in Pediatric Surgery in the Children Hospital. ~An ideal multidisciplinary collaboration.”

 

● Dr.Virasack (ラオス健康科学大学 放射線科) :
“Availability of Medical Imaging in Pediatrics in Vientiane , Lao PDR.”

 

● Dr.Douangphancang (ラオス健康科学大学 産科) :
“Fetal Ultrasound diagnosis for Common birth defects in Laos”

 

● Dr.Sanyahak (ラオス国立小児病院 小児科) :
“Challenging in Case managing of pediatrics surgical conditions in Children hospital, Laos”

 

● 北川博昭氏 (聖マリアンナ医科大学 学長) :
“The up-to date of pediatric trauma and burn – the therapeutic strategy to reduce the highest pediatric mortality”

 

● 奥山宏臣氏 (大阪大学 小児外科) :
“The current status and perspective of the Japanese Society of Pediatric Surgeons.”

ディスカッションでは、「~How to Improve the Neonatal Surgery in Lao ?~」というテーマのもとに活発な意見交換が行われました。

話し合われたディスカッションテーマは下記の通りです。

 

● ラオスで小児外科専門医制度を継続し、小児外科医を養成していくためにはどうすべきか?

現在ラオス健康科学大学のみである教育機関を 3 つに増やしていく方針であると、カウンタパートのラオス健康科学大学のAlongkone医学部副学部長が答えました。
1 つはMahosot病院、1 つは新設予定の新病院を教育機関とする予定であるとのことでした。

 

● 2 ~ 3 名 / 年の小児外科専門医候補者を確保するためにはどうすべきか?

2030年にはこどもの死亡原因のうち 20 % が先天異常を占めると予測されており、小児外科医のニーズが高まっていくとみられる。 次世代の教育を充実させていく必要があることが改めて強調されました。
小児外科医を発展させるためには小児外科だけでなく麻酔科や放射線科、術後管理など看護の面も含む多くの分野を発展させていく必要があり、多くの挑戦があるということも、ラオス側の参加者から訴えられました。

 

● ラオスの小児外科を向上させていくために必要なものは?

3 つの点からディスカッションが行われました。
1 つは、小児外科専門医候補者を確保することが早急の課題。若手に小児外科の面白さを広めること。
窪田昭男プロジェクトリーダー曰く、日本では多くの小児外科医が学生や研修医時代に小児外科の面白さを知り志しているとのことでした。
ラオスではまだまだ小児外科の専門医制度がなかったことなどが影響し、小児外科に関する認知度が低いため、まずは小児外科のおもしろさを若手に知ってもらう重要性について言及されました。

 

2 つ目に診断の遅れ、搬送後の治療介入の遅れなどによる死亡をなくすことが大切だと言及されました。

 

3 つ目に術後管理の向上の必要性が話し合われました。
小児外科、特に新生児外科の手術成績向上のためには、術後の管理が欠かせません。
呼吸器管理などの集中治療における課題や、経済的な理由から術後早々に自宅に帰ってしまうことも多く、術後の管理を改善していくことも必要です。

COVID-19の影響により長らくオンラインでの参加のみとなっておりましたが、プロジェクト 3 年目にしてようやく現地での参加が叶いました。

 

多くの若い世代の方にも参加していただき、ラオスにおける小児外科について知ってもらうきっかけになったのではないかと考えております。

 

今後もラオスの小児外科の発展のためのサポートを、ラオスの人と一緒に考えていけたらと思っております。

ラオス小児外科プロジェクト
プロジェクトマネージャー ・ 看護師
勝井 由美

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