武見敬三厚生労働大臣からのビデオメッセージ
アドバイザリー・グループの皆様からのご挨拶
WHOの活動やグローバルヘルスに深くかかわっておられる有識者の方々に、アドバイザリー・グループとして関わっていただきました。動画やパワーポイントを通じて、それぞれの分野の強みを活かし、また分野の垣根を越えて、世界規模で考えていくことの大切さを感じる熱いコメントをいただきました。
氏名 | 所属 | 役職 | |
---|---|---|---|
1 | 遠藤 弘良 | 聖路加国際大学 | 名誉教授 |
2 | 岡部 信彦 | 川崎市健康安全研究所 | 参与 |
3 | 喜多 悦子 | 公益財団法人 笹川保健財団 | 会長 |
4 | 更家 悠介 | サラヤ 株式会社 | 代表取締役社長 |
5 | 澤 芳樹 | 一般社団法人 国際臨床医学会 | 理事長 |
6 | 堀 浩樹 | 三重大学 | 名誉教授 |
遠藤 弘良 - 聖路加国際大学 名誉教授
健康と権利
WHOではハンセン病や HIV / AIDS における差別 ・ 偏見と人権の問題や、Reproductive Rights という概念も提唱し、健康と権利について取り組んできました。 今年のテーマの背景は、顕著となった気候変動と多発 ・ 激化している紛争により、尊厳をもって生きる権利とヘルスサービスを受ける権利の重要性が再認識されたことにあります。
また2023年の Human Rights Day では Health is a human right. と謳い、Make decisions about your own health も含め、健康に関するいくつかの「権利」を挙げています。 このように権利 (right) は幅広くかつ奥の深い概念と言えます。 日本では健康と権利に関する議論はあまりなされて来ませんでしたが、これを機に権利に伴う義務も含めて議論が深まることを期待します。
岡部 信彦 - 川崎市健康安全研究所 参与
川崎市健康安全研究所の岡部と申します。 私は小児科医として日常の診療や後輩の教育、感染症の研究などを行っていましたが、ふとしたきっかけでマニラにある WHO 西太平洋地域事務局 (Western Pacific Regional Office ; WPRO) で 1991 ~ 94 年の 3 年半ほど、アジアオセアニア地域を中心とした感染症対策に従事していたことがあります。 どのようところで何をするかよくわからないまま飛び込んだ WHO でしたが、感染症対策は村や町などの一つ一つの努力とそのデーターの集積、そしてその分析とフィードバックが村 ・ 町全体の感染症対策に、やがてそれは市や県 ・ 州そして国に、やがてはアジア全体から世界に広がっていくことを実感しました。 WHOから母校の大学病院に戻り、感染研、そして川崎市健康安全研究所に勤務をしました。 その間、WHOとは新興再興感染症対策 ・ ポリオ根絶や麻疹 ・ 風疹のelimination (排除) 、ワクチンの安全性 (GACVS : Global Advisory Committee on Vaccine Safety) などに続けてかかわってきました。
川崎市健康安全研究所は、川崎市民のための公衆衛生の検査 ・ 研究機関として位置づけられていますが、その精緻な検査、あれ?と思うことへの探求 (研究) は、市民に対してはもちろん、地域から国、国から世界に通じ、人々の健康に貢献している、と研究所職員諸君に常々語っているところです。 地域は世界のために、世界は地域のために。 WHO 勤務時代に痛感したことです。 My health, my rights の考え方も、地域は世界のために、世界は地域のために、であると思います。
喜多 悦子 - 公益財団法人 笹川保健財団 会長
世界保健デー 2024 「私の健康、私の権利」(My health, my right)
開発途上国を「先進国」日本と異質な世界のようにみるのは間違っていると思う。 長―ク生きてきたから、自信をもっていえるが、日本もかつては開発途上にあった。その上、私がこどものころは敗戦国でもあった。 大人になってからは世界のブランド商品を身にまとって、きどっていても、私世代は全員、子ども時代にはお腹に寄生虫をもっていた。
その私の健康と、今、世界のどこかで飢えているこどもの健康とは同じだと思う。 私が健康になったように、その子どもたちも健康になる権利を持っている。
WHO の使命は、それを世界中に認識させ、その道を拓くことだと思う。 そのためには、まず、積極的に健康とイノチを殺める紛争を止めさせることも必要だ。
更家 悠介 - サラヤ 株式会社 代表取締役社長
本年の世界保健デーのテーマは“My Health, My Rights”です。世界の人々には健康で豊かな生活を送る権利がありますが、これは紛争や気候変動、そして偏見や搾取など、様々な理由で脅かされています。 つい先日には、コロナによって多くの方々が健康を害され、時には命の危険にまでさらされました。 サラヤの感染予防の仕事でも、一部の方々に予防のための手指消毒剤や手袋・ガウンといった感染防護のための機材が届かず、大変迷惑をかけました。これからも、ユニバーサル ・ ヘルスカバレッジの観点から、このようなリスクをできる限り回避するための活動に努力いたします。 皆様のご支援、ご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
澤 芳樹 - 一般社団法人 国際臨床医学会 理事長
2024年4月 7日 WHO「世界保健デー」を迎え、国際臨床医学会を代表してご挨拶申し上げます。
本年の「世界保健デー」は、「My health, my right (私の健康、私の権利) 」であります。 日本WHO協会では、この世界保健デーのテーマ啓発「私の健康私の権利」について、わたくしども国際臨床医学会にとりましても大変重要と認識しております。 いま世界が抱えている出口の見えないウクライナやパレスチナ紛争問題、COVID-19 の克服ののちも常に感染症にさらされている世界、そして温暖化やCO2排出などの地球環境変動などの課題。 これによって脅かされつつある個人の健康とそれを守るべき個人の権利。 まさに保健医療の課題が一国では解決できない国境を超えたグローバルな視点が重要であることを改めて強く皆で考える機会であると言えます。 2020年より世界に拡大し、今もなお世界規模の保健課題であり、人の生活や社会活動、経済、施策にも大きな影響を与えているCOVID-19は、人だけでなく、地球上に生きる動物や、それらと共生する細菌やウイルスや、自然環境である植物や大地、海洋、大気、天空といった Planet を構成する多様な全てものが調和ある共存が重要であると気づかせてくれます。
国際臨床医学会では、それぞれの地域社会での国境を超える人の移動 ・ 共存に伴う臨床医学の課題を一つ一つ取り出して、日本全体、さらに、グローバルな視点で解決を目指していく活動として歩み始めています。 地球規模での俯瞰した洞察、研究から、地域と世界が抱える保健医療、国際医療の課題を解決して、Inclusive な豊かで健康な社会を作っていく日本発グローバルヘルス活動を、日本WHO協会とも連携して進めていきたいと考えております。
今後益々、日本WHO協会の発展とともに、この「世界保健デー 2024」をきっかけに、両団体と皆様とが一緒になって、地球規模で私たちの環境、健康、いのちを考えて、新たな一歩を進めていけることを心より祈念いたします。
本イベントが、実りある活動の機会となり、大きな成果を生み、新たな発信となることを大変楽しみにしております。