質の高い医療サービス
キーファクト(主要な事実)
- 低 ・ 中所得国 (LMIC) では粗末なケアによって毎年 570 万 ~ 840 万人が死亡しており、これらの国では全死亡数の最大 15 % を占めています [1] 。
- 低・中所得国での死亡の 60 % は、医療サービスを必要とする状態でありながら、粗末なケアしか受けられないことに起因していますが、残りの死亡は保健システムが利用できないことによります [2] 。
- 慢性疾患を抱える患者の 10 人に 4 人は、自国の医療制度を信頼していません。 患者が医療制度を信頼することは、質の高い医療と密接に関連しており、医療に関する個人的な経験とも深く関連しています [3] 。
- 粗末な医療保健サービスにより、LMIC における生産性が失われ、毎年 1 兆 4000 ~ 1 兆 6000 億ドルの費用が必要になっています [1] 。
- 高所得国では、10 人に 1 人が病院のケアを受けている間に健康被害を受け、100 人の入院患者のうち、7 人が医療に起因した感染をする可能性があります。 開発途上国では、100 人に 4 人が安全でない医療によって死亡しています [4] 。
- 保健システムの質が良好であれば、心血管疾患による死亡 250 万人、結核による死亡 90 万人、新生児死亡 100 万人、妊産婦死亡全体の半数を毎年救命できると推定されています。
[1] Crossing the global quality chasm: improving health care worldwide. Washington, D.C.: The National Academies of Sciences, Engineering, Medicine; 2018. Available from: http://nationalacademies.org/hmd/Reports/2018/crossing-global-quality-chasm-improving-health-care-worldwide.aspx
[2] Kruk ME, Gage AD, Arsenault C, Jordan K, Leslie HH, Roder-DeWan S, et al. High-quality health systems in the sustainable development goals era: time for a revolution. Lancet Glob Health. 2018 Nov;6(11):e1196–252. https://doi.org/10.1016/S2214-109X(18)30386-3
[3] OECD (2025), Does Healthcare Deliver?: Results from the Patient-Reported Indicator Surveys (PaRIS), OECD Publishing, Paris, https://doi.org/10.1787/c8af05a5-en.
[4] OECD (2022). The economics of patient safety: From analysis to action. OECD Publishing, Paris, https://dx.doi.org/10.1787/761f2da8-en.
文章は、日本WHO協会がWHOのメディアセンターより発信されているファクトシートのキーファクト部分について、2014年3月にWHO本部より付与された翻訳権に基づき作成したものです。ファクトシートには、訳出部分以外にも当該案件に関する基本的情報や詳細情報へのリンク先などが示されていますし、また最新事情に合わせて頻繁に見直しが行われますので、更新日時の確認を含めWHOホームページでの原文をご確認ください。