バクー ・ フォーラム、パネル 2「多極化する世界における多国間主義の再考」におけるテドロスDGの開会挨拶の概要は以下の通り。
《米国の WHO からの脱退について》
- WHOにとって良くないことであるだけでなく、世界にとっても良くないことであり、当然、米国にとっても良くなくなることです。
- 米国は海外開発援助の 30 % を占めていたため、その資金援助が突然途絶えたことは、世界中の健康と人道支援に大きな影響を与えています。
(例)
- 大統領エイズ救済緊急計画 (PEPFAR) への資金提供が停止されたことで、PEPFARが支援している 50 カ国以上で HIV 治療、検査、予防サービスが即座に停止された。
- マラリアに関しては、殺虫剤処理済みの蚊帳の流通が、在庫切れ、配送の遅延、資金不足により深刻な打撃を受けた。
- 結核に関しては、アフリカとアジアの 14 カ国が対応の深刻な機能不全に直面しており、人材不足、診断と治療の中断、データと監視システムの崩壊、積極的結核患者発見、スクリーニング、接触者調査など、地域社会の重要な関与活動の悪化といった事態が生じてる。
- 予防接種に関しては、麻疹や風疹のアウトブレイクを検出するための 700 以上の WHO の研究所ネットワークが、間もなく閉鎖に追い込まれる危機に直面しており、地域でのアウトブレイク、世界的な拡大、そして回避可能な死亡のリスクが高まっている。
米国は長年にわたり非常に寛大であり、おそらくグローバルヘルスおよび人道支援の世界は、その寛大さに頼りすぎてしまっているのかもしれません。
米国が支援を縮小するのであれば、少なくとも解決策が見つかるまでは、救命サービスを維持するために資金援助を継続することを検討していただきたいとだけお願いしたいと思います。そして、他のパートナーにも支援の強化を求め続けています。世界で最も弱い立場にある人々が、私たちの支援を必要としているのです。