WHO は、保健上の緊急事態における公衆衛生 ・ 社会的対策 PHSM (public health and social measures) に関する複雑な決定を支援するために設計された、初めての枠組みである PHSM 意思決定ナビゲーターを開発し、公開しました。
PHSM は、感染症の伝播リスクと規模を低減し、入院や死亡を減らす上で極めて重要で、接触者追跡、隔離 ・ 検疫、マスク着用、換気対策、学校や職場での対策、移動制限、渡航要件などが例として挙げられます。 しかし、病原体が新規またはそれらの情報や理解が不完全、かつ公衆や政治的な圧力も強い状況下では、急速に変化する健康上の緊急事態における PHSM による意思決定は非常に複雑になります。 この状況でのガイダンスは「機敏かつ対応力があり、新たなエビデンスや変化する疫学的パターンに基づいて策定 ・ 適応される」必要があり、意思決定者は頻繁に困難な一得一失のジレンマ (トレードオフ) に直面し、
- 効果的ではあるが社会的に混乱を招くもの
- 費用対効果は高いが実施面で負担が大きいもの
- 公衆衛生には有益だが経済的に混乱を招くもの
- 実践的ではあるが不公平または非倫理的なもの
などの要素をバランスさせる必要があり、PHSM の選択と調整には、疫学的状況、医療システムの対応能力、医療対策の可用性に加え、資源の確保可能性、政治的 ・ 法的実現可能性、検討中の PHSM に対する公衆の受容性など、複雑な要素群を慎重に考慮する必要があります。
WHO は、政策立案者、保健当局、およびセクターを超えたパートナーの皆様に、PHSM 意思決定ナビゲーターを導入し、緊急事態への備えと対応計画に組み込むことを推奨します。