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MERS-CoV ウイルス分離株を追加 : バイオハブシステム

近年のパンデミックや緊急事態は、世界的な対応努力を加速させるため、病原体のより迅速で公平かつ信頼性の高い共有が緊急に必要であることを浮き彫りにしました。新たな感染脅威が絶えず出現する相互接続性の高まる世界において、生物学的材料へのタイムリーなアクセスは科学と公衆衛生対策にとって不可欠です。

パンデミックを引き起こす可能性のある影響力の大きい 3 つのコロナウイルスのうちの 1 つである中東呼吸器症候群コロナウイルス (MERS-CoV) の分離株が、WHO バイオハブシステムに追加されました。
MERS-CoVは人獣共通感染症ウイルスであり、ヒトコブラクダとヒトの間で感染を起こし、急性呼吸器疾患を引き起こし、場合によっては死に至ることもあり、これまでに報告された症例の 37 % が致死的な結果となっています。 しかし、現在、MERS に対する認可されたワクチンや治療薬は存在しません。
これまでの MERS 研究のほとんどは、2015年以降に絶滅したと考えられている系統 A の分離株を使用してきましが、バイオハブで現在入手可能な分離株はラクダ由来の系統 C のもので、アフリカのラクダの個体群に広く分布していることが判明しています。
WHO バイオハブシステムは、標準化された合意と手順により管理負担を最小限に抑え、生物安全性を維持しつつ迅速な交換を保証する、機能的で信頼性が高く拡張可能な仕組みを提供し、研究と公平性を支援し、設立以来、参加機関数と影響力の両面で著しく成長しました。
これまでに、WHO 全地域にわたる 30 カ国 76 の研究所が、流行またはパンデミックの可能性を秘めた生物学的材料の共有と要求を通じて本システムに参加し、現在、バイオハブのコレクションには、COVID-19を 引き起こすウイルスである SARS-CoV-2 の 33 の変異株、mpox の Ia、Ib、IIb 系統、オロプーチェウイルス、そして新たに MERS-CoV が含まれています。

現在、スイスのシュピーツ研究所が WHO バイオハブの中核施設として、材料の保管、特性評価、配布を担当しており、今後、WHO は各地域にバイオハブ施設を設し、ネットワークの拡大を目指しています。
これにより、全ての地域が公平なアクセスを確保し、将来の健康脅威に迅速に対応する能力を備えることが可能となります。

記事の詳細はWHOのウエブサイトをご覧ください。

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