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イノベーションの欠如が抗生物質の性能と健康増進を損なう (2021抗菌薬報告書)

WHOの年次報告書によると、新しい抗菌治療薬の開発は、抗生物質耐性の脅威の高まりに対処するには不十分であることが明らかになりました。

2021年に優先病原体に対して臨床開発中の新規抗生物質は 27 品目にとどまり、2017年の 31 品目から減少しています。 新製品開発の障害となっているのは、承認までの道のりの長さ、コストの高さ、成功率の低さなどです。

現在、抗生物質の候補が前臨床段階から臨床段階に移行するまでに約 10 ~ 15 年かかっています。既存の抗生物質では、前臨床開発中 15 品目のうち平均 1 品目しか患者さんのもとに届きませんでした。新しいクラスの抗生物質では、30 品目に 1 品目しか患者さんのもとに届きません。

優先的に使用される病原体に対応する臨床パイプラインにある 27 種類の抗生物質のうち、WHOのイノベーション基準の少なくとも 1 つを満たしているのは、わずか 6 種類です。 抗生物質に関わるイノベーションの欠如は、市場に投入されようとした限られた数の新しい抗生物質の有効性を急速に損ないます。 平均して、ほとんどの新薬は上市後 2 ~ 3 年で耐性が報告されています。

抗生物質の技術革新の多くは中小企業によって推進されていますが、これらの企業は、規制当局の承認に至るまでの後期臨床開発の資金を調達する投資家を見つけるのに苦労しています。 製品開発を数年間中断したり、倒産する企業も少なくありません。 

COVID-19のパンデミックも進捗を妨げ、臨床試験を遅らせ、すでに限られている投資家の注意をそらすことになってしまいました。

抗生物質、特にAMRの影響を最も大きく受ける低資源環境下で効果を発揮する抗生物質のパイプライン (製薬業界における医療用医薬品候補化合物 (新薬候補) のこと) を加速 ・ 拡大するために、政府と民間部門による研究開発への緊急かつ協調的な投資が必要とされています。 各国は、研究、開発、革新のための持続可能な解決策とインセンティブを見出し、抗生物質のための実行可能な生態系を構築するために協力する必要があります。

* イノベーション (innovation) とは、これまでにない新しいサービスや製品などを生み出すこと。 語源はラテン語の「innovare」で、innovareには「新たにする」「リニューアルする」などの意味があります。 日本語ではよく「技術革新」と訳されますが、本来は技術に限らず広い概念を持っています。

記事の詳細はWHOのウエブサイトをご覧ください。

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