WHOは、薬剤耐性 (AMR) 菌病原体による感染症を予防するために現在開発中のワクチンのパイプライン [1] に関する初の報告書を発表しました。 そして、開発後期にあるAMR関連ワクチンの試験を加速し、既存のワクチンを最大限に活用する必要性を指摘しています。
薬剤耐性の静かなパンデミックは、公衆衛生上の大きな懸念として高まっています。 薬剤耐性菌感染症だけで年間 495 万人近くが死亡しており、そのうち 127 万人はAMRが直接の原因となっており、AMRは通常の細菌感染症を遥かに凌駕しています。 AMRは、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫が時間の経過とともに変異し、医薬品が効かなくなることで発生します。 これらの微生物に感染した場合、その感染症は抗菌薬に対して耐性を示し、多くの場合治療が困難です。
AMRによる死亡の原因となっている上位6つの細菌性病原体のうち、ワクチンが存在するのは肺炎球菌だけです。 ワクチンは、感染を未然に防ぐための強力なツールであり、AMR感染の拡大を抑制する可能性を持っています。
AMRワクチン ・ パイプライン ・ レポートは、AMRを軽減するための実現可能なワクチンへの投資と研究の指針を示すことを目的としています。
[1] パイプライン : 製薬業界における医療用医薬品候補化合物 (新薬候補) のこと