世界口腔衛生状況報告書は2022年に発行されたWHO Global oral health status reportに基づくもので、世界の口腔疾患の負担、口腔健康のグローバルヘルス上の重要性、ライフコースにおける口腔疾患の影響について包括的に説明しています。
世界保健機関西太平洋地域 (WPR) には、37 の国と地域があり、世界人口の約 4 分の 1 が住んでいます。 この地域では口腔疾患の負担が大きく、2019年には 8 億人以上 (人口の 42.1 % ) が罹患しており、口腔疾患の予防と制御のための行動の必要性が強調されています。とりわけ、この地域には 65 歳以上の高齢者が 2 億 4 千万人以上住んでおり、その数は2050年までに倍増すると予想されています。 このような人口動態の変化は、当地域における口腔疾患の負担やその後の対応に影響を及ぼすと考えられます。 しかも、口腔保健サービスへのアクセスにおける大きな不平等が存在し、人口 1 万人当たりの歯科医師数は、0.1 ~ 8.0 であり、地域平均は 4.6 (世界平均は 3.3 ) と格差がみられ、同地域の口腔ヘルスケアにかける費用は、約半数の国が 1 人当たり年間 10 米ドル未満、5 カ国が 11 米ドルから 50 米ドル、高所得国の 5 カ国が 51 米ドルから 300 米ドルとなっていまが、通常、保険制度では部分的にしかカバーされないか、まったくカバーされないため、高い自己負担を伴います。