本年は、WHO が各疾患別活動を統合し、全ての NTD を対象とした単一プログラムを設立してから 20 周年にあたり、この取り組みは製薬企業、開発パートナー、慈善団体、各国保健当局、WHO 間の連携を促進し、NTD の世界的負担の減少に貢献してきました。
WHO は、『顧みられない熱帯病対策ロードマップ 2021 – 2030 年』で設定された 2030年目標に向けた進捗状況を監視するシリーズの 第 3 弾 となる『顧みられない熱帯病に関するグローバル報告書 2025年版』を発表し、顧みられない熱帯病 (NTDs:neglected tropical disease) の全対象疾患および WHO の全 6 地域における、世界の達成状況と課題の包括的な概要を示しています。 数多くの課題があるにもかかわらず、NTDs 対策プログラムは重要な成果を上げ続け、広範な人口をこれらの古くから存在する疾病から解放しています。
また、本報告書では、媒介生物による疾病による死亡の削減、水 ・ トイレ ・ 衛生環境 (WASH) へのアクセス拡大、および破産的自己負担医療費からの住民保護における進展の遅さを指摘し、調和のとれた多部門連携対応における持続的な格差も示しています。
報告書の主なポイントは以下の通り。
- NTD 対策が必要な人々の減少 : 2023年には NTD 対策が必要とされる人びとは推定 14 億 9500 万人 (2010年比 △ 32 %)
- 疾病負担の軽減 : 2015年から2021年にかけて、疾病負担は 1,720 万 DALY から 1,410万 DALY に減少
- NTD の撲滅 : 2024年には、7 カ国が WHO より NTD 撲滅を達成したと認定
- 横断的な進展 : 予防的化学療法の実施における統合性の強化、皮膚 NTD に対する統合的戦略のより広範な採用、国家保健戦略 ・ 計画 ・ 必須サービスパッケージへの NTD の組み込み拡大等
- 研究とイノベーション : 2024年、WHO は NTD の研究開発優先事項を定義するプロセスを開始、6 つの新規医薬品製剤、1 つの有効成分、および新規デング熱ワクチンを事前承認







