日本WHO協会からのお知らせ

2020年9月

新型コロナウイルス感染症対策と熱中症対策が同時並行で実施されるという、まさに未曽有の日本の夏でした。

いたるところで、オンライン会議とオンライン・セミナーが続いています。そのなかで、先日、金沢市国際交流財団で、「外国人母子サポート・ボランティア育成セミナー」が対面講義のかたちで開催され、私も講師として参加させていただきました。インバウンドの外国人観光客が激減する中で、金沢に居住する外国人の母と子どもの健康に関するサポートをするために、母子保健、母子手帳、医療通訳などについて勉強する集まりでした。参加希望者が予想をはるかに超えて多く、三密を避けるために、大きな会場を確保してのセミナーになりました。講義の後の質疑応答も活発で、講演の後も熱心な対話が続きました。市民の方も、そろそろオンライン講義に飽きはじめ、人と人が顔を合わせて議論することに、新鮮な気持ちをいだいているように感じました。

WHOが2020年1月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態:PHEIC)」を宣言してから、9月1日は214日目にあたります。そういえば、立春から数えて210日が9月初旬で天候が移ろいやすいといわれてきました。ことしは、この短い期間のうちに、世界の景色は一変しました。ただ、新しいウイルスと人類の長い歴史をひも解いてみると、いつまでも現在の状況が続くはずはありません。ウイルスと人類が共存するかたちはさまざまです。しかし、インフルエンザの流行時にも世界中の空港が閉鎖されることがないように、人々の暮らしや生活の一部として感染症対策が実施されることになるのでしょう。

そのようなポスト・コロナ時代の保健医療のあり方はとして、単に元に戻すだけでいいのでしょうか。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」のような新興感染症は、1970年以降すくなくとも30以上が発生しているといわれています。今後も、近い将来にまた新しい感染症が勃発することを想定して備えておく必要があります。

日本では多くの自然災害を経験し、それを乗り越えてきた歴史的な知恵と経験を有しています。自然災害からの復興で学んだことは「災害前よりもいいものを創りあげるのだ」(ビルド・バック・ベター!)という前向きの姿勢です。新しい感染症にも対処できる、しなやかで強靭な(レジリエンス)医療のかたちを早急に準備しておく必要があります。

個人的には、世界の保健医療関係者がこの四半世紀の間に築きあげてきた保健医療に関する理念のなかに、未来をひも解くカギがあるのではないかと思います。

1946年:世界保健機関(WHO)憲章前文の「Health and well-being」

1978年:アルマアタ宣言「プライマリヘルスケア(PHC)」

2015年:持続可能な開発目標(SDGs)の「ユニバーサル・ヘルス・カバレージ(UHC)」

9月16日からはじまる「関西グローバルヘルスの集い」では、これらの理念を深く掘り下げることにより、ポスト・コロナ時代の医療のあり方について、議論していきたいと思います。関心ある皆さま方のご参加を心からお待ちしています。

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