日本WHO協会からのお知らせ

2021年11月

9月の国連総会に引き続き、新型コロナウイルスワクチンの格差が国際的な政治課題になっています。 10月末のイタリアで開催されたG20首脳会議において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの復興には、先進国と低中所得国の間でのワクチン接種の格差の解消が欠かせないという認識で一致し、低中所得国へのワクチン供給を加速し、2022年半ばまでに世界の人口の 70 % への接種を目指すことを確認しました。

感染症に国境はありません。 いまこそ、地球全体の健康を第一に考え、国際協調を積極的に推進し、世界全体の新型コロナ対策の成果が結実するように各国が力を合わせるべきときだと思います。

10月25日から29日まで、兵庫県姫路市においてWHO西太平洋地域事務所(WPRO)が主催する地域委員会が開催されました。 WPROはアジア・太平洋地域の 37 の国と地域にまたがり、19 億人以上の人々が住んでいます。 昨年はCOVID-19の影響により、完全なオンライン開催だったので、今回は初めてのハイブリッド形式での開催でした。 大きなテーマは、プライマリヘルスケア(PHC)、学校保健、栄養問題、伝統医学でした。学校保健や伝統医学の課題は、日本が長年にわたり培ってきた技術や経験がWPRO地域に役に立つのではないかと感じました。

COVID-19のような感染症対策とともに、非感染性疾患(NCDs)の負担が増える高齢化社会の課題に向き合うにはPHCが重要になります。 とくに、過去と現在の課題だけをみているのではなく、未来志向でPHCを捉えていることが新鮮でした。

ポスト・コロナのキーワードは、PHCになるのではないかという熱い雰囲気を感じました。 日本WHO協会が2020年からの「関西グローバルヘルスの集い」のオンライン・セミナーにおいて、繰り返し強調してきたのがPHCの復権でした。 ベトナム戦争が終結した直後の1978年に、「人々の健康を増進し守っていくことは、持続的な経済と社会の発展に不可欠であるとともに、より良い生活の質と世界平和に貢献することである」と高らかに宣言しました。 今後、WHOのなかでPHCがどのように発展していくのか、見守っていきたいと思います。

今後とも、何とぞよろしくお願いします。

公益社団法人 日本WHO協会

理事長  中村安秀

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