HIV薬剤耐性
キーファクト(主要な事実)
- 好ましい抗レトロウイルス薬であるドルテグラビル (DTG : Dolutegravir) に対する獲得耐性 (acquired resistance) の出現は、特に治療経験の豊富な人では予想以上に高い可能性があります。
- 耐性の出現にもかかわらず、DTG は HIV 治療において非常に有効な薬剤であり、治療を継続すれば 90 % 以上の患者が持続的なウイルス抑制を達成しています。
- DTG 耐性により、DTG 耐性変異の有病率やパターン、およびそれらに関連する臨床的決定因子を特徴付けるための標準化された調査を緊急に実施する必要性が高まっています。
- ドルテグラビルをベースとした抗レトロウイルス治療 (ART : antiretroviral treatment) が拡大されるにつれ、新たに HIV と診断された乳幼児の HIV 薬剤耐性の予防とモニタリングに引き続き注意を払うことが不可欠です。
- 曝露前予防 (PrEP) 療法に関連した耐性 (テノホビルおよび / またはラミブジンに対する耐性と定義) の有病率は、テノホビル含有 PrEP を受けている間にHIVに感染した人では低いものとなっています。 しかし、未診断の急性 HIV 感染時に PrEP を開始した場合、テノホビル耐性やラミブジン耐性の有病率は 10 倍以上になります。
- HIV 薬剤耐性を阻止するためには、最適な抗レトロウイルス薬を利用できるようにする、患者の治療継続と治療アドヒアランス (患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受けること) を確保する、 ウイルス量検査へのアクセスと利用を増やす、そして、治療の失敗が確認された場合には迅速に治療計画を変更する、ことが必要です。
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文章は、日本WHO協会がWHOのメディアセンターより発信されているファクトシートのキーファクト部分について、2014年3月にWHO本部より付与された翻訳権に基づき作成したものです。ファクトシートには、訳出部分以外にも当該案件に関する基本的情報や詳細情報へのリンク先などが示されていますし、また最新事情に合わせて頻繁に見直しが行われますので、更新日時の確認を含めWHOホームページでの原文をご確認ください。