患者の安全
キーファクト(主要な事実)
- 患者の約 10 人に 1 人が医療で被害を受け、年間 300 万人以上が安全でない医療が原因で死亡しています。 低中所得国では、100 人に 4 人が安全でない医療によって死亡しています [1] 。
- 危害の 50 % 以上 (患者 20 人に 1 人) は予防可能です。 この害の半分は薬物によるものと考えられています [2] [3] 。
- 一次医療や外来医療では、患者の 10 人に 4 人に危害が加えられており、この危害の最大 80 % ( 23.6 ~ 85 % )は回避可能であるという推計もあります [4] 。
- 回避可能な患者危害をもたらす可能性のある一般的な有害事象は、投薬ミス、安全でない外科処置、医療関連感染、診断ミス、患者の転倒、褥瘡 (床ずれ) 、患者の誤認、安全でない輸血、静脈血栓塞栓症などです。
- 患者への危害は、世界の経済成長を年間 0.7 % 低下させる可能性があります。 世界規模では、患者被害による間接的なコストは毎年数兆米ドルにのぼります [1] 。
- 患者への危害を軽減するための投資は、大幅な経済的節約につながり、さらに重要なことに、患者の転帰の改善につながります [5] 。投資効果が高い例として、患者参加型医療が挙げられ、これがうまくいけば、危害の負担を最大 15 % 減らすことができます [4] 。
[1] Slawomirski L, Klazinga N. The economics of patient safety: from analysis to action. Paris: Organisation for Economic Co-operation and Development; 2020
https://www.oecd.org/health/health-systems/Economics-of-Patient-Safety-October-2020.pdf
, accessed 6 September 2023
[2] Panagioti M, Khan K, Keers RN, Abuzour A, Phipps D, Kontopantelis E et al. Prevalence, severity, and nature of preventable patient harm across medical care settings: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2019;366:l4185. doi:10.1136/bmj.l4185.
[3] Hodkinson A, Tyler N, Ashcroft DM, Keers RN, Khan K, Phipps D et al. Preventable medication harm across health care settings: a systematic review and meta-analysis. BMC Med. 2020;18(1):1–3.
[4] Slawomirski L, Auraaen A, Klazinga N. The economics of patient safety in primary and ambulatory care: flying blind. OECD Health Working Papers No. 106. Paris: Organisation for Economic Co-operation and Development; 2018
, accessed 6 September 2023
[5] Slawomirski L, Auraaen A, Klazinga N. The economics of patient safety: strengthening a value-based approach to reducing patient harm at national level. OECD Health Working Papers No. 96. Paris: Organisation for Economic Co operation and Development; 2017
, accessed 6 September 2023
文章は、日本WHO協会がWHOのメディアセンターより発信されているファクトシートのキーファクト部分について、2014年3月にWHO本部より付与された翻訳権に基づき作成したものです。ファクトシートには、訳出部分以外にも当該案件に関する基本的情報や詳細情報へのリンク先などが示されていますし、また最新事情に合わせて頻繁に見直しが行われますので、更新日時の確認を含めWHOホームページでの原文をご確認ください。