ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

キーファクト(主要な事実)

  • 2000年以降、医療サービスへのアクセス拡大と経済的困難の軽減において成果を上げてきたにもかかわらず、現状のペースでは、世界はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成への軌道から外れています。進捗は2015年以降鈍化しています。
  • UHC サービス普及指数(カバレージインデックス)は、2000 年から 2023 年の間に  54 から 71 に増加しました。しかし、2015年から2023年までの期間においては、進捗は2015年以前の伸び率と比較して、年率換算で3分の1にまで低下しました。
  • 2000年から2023年の間に、必要不可欠な保健医療サービスを提供されていない人口の割合は約20%減少しました。しかし、2023年には約46億人が完全な保健医療サービスを受けられていないことが示されています。
  • 2022年には、21億人が経済的困難に直面しており、そのうち16億人は貧困状態にあるか、医療費の自己負担によりさらに貧困に陥っています。これは世界人口の26%に相当し、2000年の34%から減少しています。
  • WHOの全地域において、保健医療サービスの提供範囲は拡大しました。また、その半数(アフリカ地域、南東アジア地域、西太平洋地域)では、2015年以降、経済的負担の軽減も実現しています。

概要

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、すべての人々が、経済的な困難なしに、必要な時に、必要な場所で、ニーズに応じた質の高い保健医療サービスに十分にアクセスできることを意味します。これは、健康増進から予防、治療、リハビリテーション、緩和ケアに至るまで、ライフコースを通じた必要不可欠な保健医療サービスの全過程をカバーするものです。

UHCの達成は、世界各国が2015年に2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)を採択した際に設定した目標の1つです。2019年国連総会UHCハイレベル会合において、各国は、健康が持続可能な開発の社会的、経済的、環境的側面の前提条件であり、その結果と指標であることを再確認しました。

2025年、国連統計委員会は、すべてのSDG指標の包括的見直しの一環として、SDGユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)指標の改訂案を承認しました。改訂されたグローバルUHCモニタリング枠組みでは、以下の2つの指標が採用されています:SDG指標3.8.1:UHCサービスカバレッジ指数、SDG指標3.8.2:医療費負担により経済的困難に直面している人口の割合。

UHCに向けた進捗

世界的に見て、2000年から2015年にかけて、両方のUHC指標において最も大きな進展が見られました。UHCサービスカバレッジ指数の年間改善率は1.5%でしたが、2015年以降は0.5%に鈍化しました。経済的負担の軽減ペースも当初は速く、約0.37ポイント低下していましたが、その後の期間では約0.28ポイントに鈍化しています。現在の進捗状況では、世界は2030年までにUHCを達成できません。世界のサービスカバレッジ指数は100点満点中74点と予測され、人口の24%が引き続き経済的負担に直面すると見込まれています。

UHCサービスカバレッジ指数の世界的な進歩は主に感染症対策によって推進されており、2000 年以降のサービスカバレッジ指数の増加の 52% を占めています。対照的に、生殖、母体、新生児、および子供の保健サービスは近年72ポイントで停滞しており、非感染性疾患のケアは遅れが見られ、2023年には61ポイントとなりました。各国間のサービスカバレッジの格差は縮小しており、サービスカバレッジが低い、または非常に低いと分類される国の数は、2000年の55カ国から2023年までにわずか8カ国に減少しました。

2000年から2022年の間に、貧困化を招いた自己負担(OOP)医療費は減少しました。これは主に、医療費の支払いによって貧困がさらに悪化する人が減少したためです(26.6%から18.6%に減少)。一方、貧困に陥った人々の割合は1.9~2.8%とほぼ横ばいでした。(新設)しかし、自己負担医療費の削減よりも貧困層の減少が速く進んだ結果、既に貧困状態にある人々の中で、医療費によって新たに貧困に陥るか、あるいは貧困がさらに深刻化する人々の割合が増加しています。

不平等は、引き続きUHCの根本的な課題です。たとえUHCにおいて国家レベルで進展が見られる場合でも、集計データは国内の不平等を覆い隠し、特に経済的、教育的、地理的要因に沿って、医療ケアへの公平なアクセスを制限し続けています。

2019 年、一部のヨーロッパ諸国では​​、医療に対する満たされていないニーズに関して、国内での明らかな不平等が見られました。中央値は、最貧困層20%では最富裕層30%よりも高く(32%対22%)、重度障害者では障害のない人よりも高く(42%対21%)、農村部では都市部住民よりも高く(27%対23%)なっています。

2022年には、人口の最貧困層の4人に3人が医療費による経済的困難に直面したのに対し、最富裕層では25人に1人未満でした。

医療費による経済的困難は、年齢、世帯構成、居住地によっても異なります。農村部の住民は都市部の住民よりも困窮率の中央値が 14% 高く、多世代世帯、特に 60 歳以上の成人がいる世帯では、より大きな経済的負担に直面しています。

上記の傾向と格差は、特に貧困層や医薬品が必要な人びとの自己負担額を削減する政策の強化、必須の非感染性疾患(NCD)およびプライマリーヘルスケアサービスの拡充、公的資金による前払い型保険制度の強化、そして健康のより広範な決定要因に対処するための多部門連携アプローチの導入が必要であることを示しています。

詳細なデータは、WHO Global Health Observatory Data Repository for UHC (UHCのためのWHO国際保健医療データリボジトリ)において提供されています。

WHOは2年ごとにUHCグローバル報告書を発表しています。

ⓒWorld Health Organization

文章は、日本WHO協会がWHOのメディアセンターより発信されているファクトシートのキーファクト部分について、2014年3月にWHO本部より付与された翻訳権に基づき作成したものです。ファクトシートには、訳出部分以外にも当該案件に関する基本的情報や詳細情報へのリンク先などが示されていますし、また最新事情に合わせて頻繁に見直しが行われますので、更新日時の確認を含めWHOホームページでの原文をご確認ください。

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