WHOは、アジア太平洋 ・ 新興感染症対処戦略 (APSED III : Asia Pacific Strategy for Emerging Diseases) に基づき、感染予防管理 (IPC : infection prevention and control) が成功裏に確立され、維持されている国のモデルを分析し、歴史的なレビューを通じてシステムのレバーと落とし穴を特定し、西太平洋地域における取り組みを支援しています。
本報告書では、日本がどのようにして感染予防管理 (IPC : infection prevention and control) システムを確立したのか、その過程で何が役立ち、何が妨げとなったのか、そしてどのようにしてIPCシステムが健康システムに根付いたのかを歴史的に振り返ります。
IPCシステムの歴史は、草創期 (1990年以前) 、発展期 (1990年~2010年) 、現在 (2010年以降) の 3 つの時期に分けることができ、日本における IPC 制度の歴史を振り返ると、
- 健康医療現場や社会の要請に応えるためには、時間軸に応じた適切なステップを見極めることが重要であること、
- 短期的には人材育成、中期的にはステークホルダーとの連携、長期的にはシステム基盤の整備が必要であること、が示唆されます。
本レポートは、日本がどのようにIPCを確立したか、その過程で何が役立ち、何が妨げとなったか、そしてIPCシステムがどのように健康システムに根付いたかについて、歴史的なレビューを提供することを目的としています