薬剤耐性

重要事項

  • 薬剤耐性 (AMR) は、グローバルヘルスと開発の最大の脅威のひとつです。 細菌性AMRは、2019年に世界で 127 万人の死亡に直接関与し、495 万人の死亡に寄与したと推定されています [1] 。
  • ヒト、動物、植物における抗菌薬の誤用と過剰使用は、薬剤耐性病原体の発生の主な要因となっています。
  • AMR は、あらゆる地域のあらゆる所得水準の国々に影響を及ぼします。 その要因と結果は貧困と不平等によって悪化し、低 ・ 中所得国が最も影響を受けます。
  • AMR は現代医学の成果の多くを危険にさらすものです。 感染症の治療が難しくなり、手術や帝王切開、がんの化学療法など、他の医療行為や治療がより危険なものになります。
  • 世界は抗生物質の開発パイプラインとアクセスの危機に直面しています。 耐性菌が増加する中、研究開発パイプラインは不十分であり、新規および既存のワクチン、診断薬、医薬品への公平なアクセスを確保するための追加措置が緊急に必要です。
  • 死亡や障がいに加え、AMR には大きな経済的コストがかかります。 世界銀行は、AMR によって2050年までに 1 兆米ドルの医療費が追加され、2030年までに年間 1 兆米ドルから 3.4 兆米ドルの国内総生産 (GDP) が失われると推定しています [2] 。
  • ヒトの健康における AMR に対処するための優先課題には、抗菌薬の不適切な使用につながる可能性のあるすべての感染症の予防、質の高い診断と感染症の適切な治療への普遍的なアクセスの確保、戦略的な情報とイノベーション、例えば AMR と抗菌薬の消費 / 使用のサーベイランス、新しいワクチン、診断薬、医薬品の研究開発などがあります。

本件ファクトシートについて、厚生労働省検疫所ホームページのこちらでは全文の日本語訳が公開されていますので、ご参照下さい(改訂前)

厚生労働省検疫所ホームページ :抗微生物薬耐性について(ファクトシート)

[1] Antimicrobial Resistance Collaborators. (2022). Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. The Lancet; 399(10325): P629-655. DOI:

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02724-0

[2] Drug-Resistant Infections: A Threat to Our Economic future (March 2027)

https://www.worldbank.org/en/topic/health/publication/drug-resistant-infections-a-threat-to-our-economic-future

ⓒWorld Health Organization

文章は、日本WHO協会がWHOのメディアセンターより発信されているファクトシートのキーファクト部分について、2014年3月にWHO本部より付与された翻訳権に基づき作成したものです。ファクトシートには、訳出部分以外にも当該案件に関する基本的情報や詳細情報へのリンク先などが示されていますし、また最新事情に合わせて頻繁に見直しが行われますので、更新日時の確認を含めWHOホームページでの原文をご確認ください。

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