「ワンヘルス」はヒト ・ 動物 ・ 環境の三位一体で人間の健康を向上させようという学際的なアプローチです。 しかし、この三位一体における環境の役割は見落とされがちでした。 本報告では、健康の観点からこの役割を探り、明らかにします。
物を介した疾病において、環境は 3 つの役割を担っています。
- 物質が蓄積 ・ 運搬されるリザーバーとしての役割
- 生態学的 ・ 化学的プロセスの中心点としての役割
- 環境中の病原体が動物やヒトに移行し、影響を与える健康メディエーター (仲介者) としての役割。
このように、環境は人間の身体的 ・ 精神的なウエルビーイングに大きな役割を担っています。土地利用の変化、生物多様性の損失、気候変動、汚染などの人為的なストレス要因は、ヒトと動物との健康の接点において環境が果たしている役割に更なる影響を及ぼします。
ワンヘルスは従来、感染症に焦点をあててきましたが、本報告書では、化学物質で汚染された動物や動物製品を人間が食べることによって引き起こされる病気や怪我などの非感染性疾患を、ヒト – 動物 – 環境の相互関係に対する洞察により提供しています。